こんにちは。
「心を育て、心をつなぐ」がモットーの体育教師。
心先生です。よろしくお願いします。
今日は、自立的・自治的な集団をつくるために欠かせない、子どもの創造力を育てる為のアイデアの出し方を解説します。
ちょっとしたことでアイデアが出るようになりますので、ぜひ読んでください。
きっと、子どもたちが自らの手でクラスや学校をより良くしていくアイデアが見つかるはずです。
アイデアの出し方がわからない人
生徒に考えさせる方法を知りたい人
効率よくアイデアを出す方法を知りたい人
アイデアとはどのような仕組みで生まれるのかがわかり、生徒に説明できるようになる
アイデアの出し方の具体的なステップがわかることで、自信をもって指導できる
効率よくアイデアを出す方法がわかり、生徒の力で新たなものを創造することができる
生徒が発言しにくい心理がわかる
アイデアの出し方の基本的な考え方
まず初めに、押さえておきたい点は、
「アイデアとは、今ある要素の組み合わせである」
ということです。これが、大きなポイントになります。
つまり
「〇〇×〇〇」
という考え方が出来ます。
例えば、携帯電話は
電話×持ち運び=携帯電話
となります。
さらに、
携帯電話×(音楽+インターネット)=スマートフォン
といったように、様々なものを組み合わせることで、新しいアイデアを生み出すことができます。
様々なものの組み合わせを導き出すためには、「物事の関係性を見つけ出す力」が欠かせないのです。
ここまでで、
「アイデアとは、今ある要素の組み合わせである」ということと、組み合わせるためには「物事の関係性を見つけ出す力が欠かせない」ということを覚えておいてください。
大事なことはそう多くはない 【パレートの法則】
アイデアの出し方の基本を理解したところで、次は「どのような問題から考えればよいのか」を解説します。
まず、パレートの法則をご存じでしょうか。
20%のものが80%の結果を生み出しているという法則
例えば、
- 生徒が悩みやすい問題の上位20%の悩みが解決すれば、悩んでいる生徒の80%の問題が解決する
- 問題行動のうち、上位20%の問題を解決すれば、80%の問題を解決したことになる
- 部活動では、数多くある練習メニューの中から大切な上位20%の練習が、試合での80%の成果を生み出している
- 職員会議では出席者の20%にあたる人が全体の80%を占める発言をする
といったように、20%のものが最も大事なものだということです。
もちろん、ぴったりとこの割合になるかというとズレはあると思います。
しかし、本当に大事なことは「そう多くはない」ということは事実ではないでしょうか。
だからこそ、
アイデアを考えるときは、本当に大事な20%のにこそ時間を使いましょう。
そして、大事な20%が良くなれば、全体の80%は良くなるのです。
「どこに、時間を使うか」「大事なことは何か」を見抜いてください。
アイデアを出す5つのステップ
では、具体的にアイデアを生み出すための5つのステップを紹介します。
ポイントは、1つのステップが終わるまでは次のステップに行かないことです。
- 情報を集める
- 情報を整理する
- 情報を組み合わせる
- 発見の瞬間
- アイデアのチェックし形にする
ステップ1.情報を集める
情報には、特殊情報と一般情報に分けることができます。
アイデアを出したいことに関しての情報のこと
例
物を売りたいのであれば、「その製品についての情報」やその製品を「売りたい人々」についての商法
その他の様々な情報
この情報を集めれるだけ、多く集めてください。
教室における特殊情報は、「課題」や「人」ではないでしょうか。
一般情報は、その他の全てのものです。
基本的には、
特殊情報×一般情報
でアイデアを考えていきます。
ステップ2.情報を咀嚼(そしゃく)する
資料の咀嚼とは、探した情報に対して整理していくことです。
次のように行います。
- 情報をいろんな角度から見る
- 情報同士の関係を探す
- アイデアが何か浮かんだ時には必ずメモする
- 情報を分けて、それぞれを1枚のカードに書く
- お互いに関係のありそうな情報を1カ所に集め、これらのデータを集めた理由を書く
- アイデアが書かれた紙をみて、関係性を探す
- グループを小さくしたり、大きくしたりとグルーピングを行う
このように情報を整理していきます。
ステップ3.情報の組み合わせ
整理された情報をみて、情報同士の関係性からアイデアがないかを模索します。
この時点で、すぐにアイデアが浮かんだらそれでOKですが、アイデアがすぐに思い浮かばないことがあります。
浮かばない時は、
問題を意識の外にうつす
ということをしてください。
なぜなら、人間がアイデアを浮かびやすいのは意識が分散している時だからです。
集中している時の方が生産性はあがりますが、アイデアが出るのは、意識が分散している時です。
そして、意識が分散している時とは、無意識で行える行動をしている時です。
代表的な行動は、シャワーを浴びている時です。
なんと、72%の人がシャワー中に新しいアイデアが思いつくいうデータがあるほどです。
だから、集中してもアイデアが出てこない時は、一度考えることをやめてしまうことも大事なことです。
ステップ4.発見の瞬間
先ほどにも説明した通り、アイデアは期待していない時に、ふと降ってくるものでもあります。
歯を磨いている時、お風呂に入ってる時など、何かを無意識で行っている時にアイデアが思いつきやすくなります。
ポイントは、アイデアを思い付いたら必ず、
メモを取ること
です。
お風呂に入っている時に、「思いついた!」と思っても、そのまま「お風呂で長い時間を過ごし忘れてしまった。」ということだけはないようにしてください。
ステップ5.アイデアのチェック
アイデアが思いついたら、最後におこなうことは、「形にすること」です。
せっかくアイデアが思いついても、行動しなければ何も変化がおきません。
だからこそ、苦労して生み出したアイデアだからこそ、形にしてください。
そして、もし、形にできないアイデアであったのであればもう一度別のアイデアを生み出していくしかありません。
5つのステップは以上です。必ずいいアイデアは降ってくると信じて、粘り強くより組みましょう。
チームでアイデアを発展させる【ブレインストーミング・ブレインライティング】
クラスの課題を解決しようと思ったら、一人ではなく、複数人で考える必要がある時もあります。
そんな時は、「ブレインストーミング」や「ブレインライティング」という手法がオススメです。
なぜ生徒は発言しないのか
司会者 「では、会議を始めます。意見のある人は手をあげてください。」
クラスメイト 「・・・・・」
このように、中学生同士の話し合いが停滞したことはないでしょうか。
そこには、生徒が会議で発言できない理由はいくつかあります。
それは、「いくつかの思い込み」が関係しています。
- 「自分の意見を批判されるかもしれない」という思い込み
- 「真面目な意見を考えなければいけない」という思い込み
- 「正解を言わないといけない」という思い込み
- 「人の意見は、マネしてはいけない」という思い込み
このような、思い込みによって発言できない生徒には、事前にルールを決めたブレインストーミングを行うことで、効率よく意見が出るようになります。
ブレインストーミング
ブレインストーミングとは、複数の人でおこなう新しいアイデアを生み出すことを目的にした会議方法の1つです。
ブレインストーミングにはルールがあります。
ルール1.出てきた意見を批判しない
最も生徒が発言しにくい原因は、「批判されたらどうしよう」という思い込みです。
確かに、自分が何かを発言した時に、クラス全員から「それは違う!」と批判されたらと思うと不安になってしまいます。
そこで、事前に「出てきた意見は批判をしない」というルールを確認しておくことで、生徒は安心して発言できるようになります。
生徒は安心感があるからこそ挑戦できるのです。
ルール2.自由な発想でどんどん発言する
生徒は、「ふざけた発言をしてはいけない」という思い込みを持っています。
「ふざけている」と思われない方法は、「みんなと同じような意見を出すこと」です。
これでは、斬新なアイデアが出ることがありません。
そして、生徒には、「正解を出さなければいけない」という思い込みもあります。
例えば、数学の授業で、先生に指名されて答えを発表する時には、自然と「間違ってはいけない」という意識がはたらいています。
理由は、そこに「正解」があるからです。
「正解」以外のものは「不正解」になり、「恥ずかしい」と思ってしまうのです。
しかし、アイデア出しに「正解」はありません。
というより、どの意見も「正解」です。
アイデア出しに、「不正解はない」という認識が出来れば生徒はどんどん発言できるようになります。
ルール3.質より量を大切にする
生徒は、「正解を出さなければいけない」という思い込みを持っていると説明しましたが、最終的には答えを決めなければいけませんが、その答えにたどり着くまでには、回り道をしてもいいのです。
ブレインストーミングでは質より、量を大切にしています。
イメージでいうと、
「5人の中から選ばれたアイドル」
と
「全国の100万人のオーディションの中から選ばれたアイドル」
では、どちらが凄そうに感じるでしょうか。
アイデアは、量を重視して出していき、後で質を高いものを選択すればよいのです。
4.出てきた意見から連想してもよい
生徒は、「人の意見をマネしてはいけない」という思い込みを持っています。
それは、学校教育の中で「カンニングはしてはいけない」と教わっているからです。
アイデアというのは、「今あるモノの組み合わせで出来ている」という話はすでにしましたが、「今あるもの」のを使っている時点で「マネ」なのです。
そして、アイデアが生まれるときは、「他の人の意見からの連想」で生まれることが多くあります。
なぜなら、他の人の意見というのは、自分にはなかった発想であり、物の見方だからです。
自分の考えに、他の人の発想や、新たな物の見方が交わることで、アイデアは活性化するのです。
質より量で出した、数多くの意見から連想して、アイデアをより良いものへと高めてください。
このようなルールを守ることで、チームとしてより良いアイデアを出すことができるようになります。
しかし、ブレインストーミングには1つ欠点があります。その欠点をなくす方法が次の方法です。
ブレインライティング
ブレインストーミングの欠点は、「力を持っている人の意見に流されること」です。
クラスの中にも、発言力のある生徒とない生徒がいます。
これにより、発言力のある生徒の発言に対して、同調してしまい意見が偏ってしまうことが起きます。
この問題点を解決するには、誰の意見かわからない状態にする必要があります。
そこで、考え出されたのが、「ブレインライティング」です。
基本的なルールはブレインストーミングと同じですが、書くことでアイデアを発展させていきます。
- まずは解決したい問題や疑問を決める
- その問題に対するアイデアを各自紙に書きだす(8分)
- 1度回収してシャッフルしてから配りなおす
- 隣の人から回ってきた、用紙に書かれていることから連想して自分の意見を書き足す。(3分)
- 隣の人に渡す
- 4と5を1周回るまで繰り返す。
- 最後にすべての紙を集めて、全員で検討する
ブレインライティングは、通常のブレインストーミングよりも74%もアイデアが出やすくなるという研究データもあるので、その効果は期待できます。
また、ポイントとしては、始めに出すアイデアは
奇抜なものからスタートする
ということです。
すると、いいアイデアが出る可能性が37%も上がるという研究データも出ています。
まとめ
今回は、アイデアの作り方について解説しました。
教師がすべてを提案するのではなく、生徒に考えたアイデアを形にして実行させていくことで、達成感を感じ、自分たちの力でクラスが変わっていくという小さな自信が生まれます。
この小さな自信が生徒のモチベーションを高め、自治的な活動へと近づいていきます。
生徒の可能性を信じて、一度任せてみてください。
生徒が「創造」する喜びを実感できることを楽しみにしています。
自立的・自治的な集団づくりの為の5つの柱はこちらから
https://www.heart—blog.com/gakkyuukeiei-jititekisyuudan/