チームの心を育てる

「お悩み相談室」で課題解決能力を高め、助けあえる集団作り【中学校学級経営】

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こんにちは。

「心を育て、心をつなぐ」がモットーの体育教師。

心先生です。よろしくお願いします。

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生徒が主体的に問題を解決していくような、自治的なクラスを育てたいと思っています。

しかし、なかなか自分の悩んでいることを人に話したり、自分たちで助け合っていく雰囲気を作ることができません。

どのようにすれば生徒の課題解決能力を高め、自分たちで助け合えるクラスへと育てることができますか?

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生徒たちの力で課題を解決していくような自治的なチームへと育てていく中では、自分が困っている時に困っていると素直に仲間に助けを求めたり、困っている仲間の問題を解決する力があることが大切です。

そこで、今回は実際に私が学級経営を行う中で取り組んでいる「お悩み相談室」という取り組みを紹介していきます。

ぜひ、最後までお読みいただき、生徒たちの課題解決能力を高めるヒントにしてください。

この記事を読んで欲しい人

生徒が困っている事を素直にいえるようになって欲しいと思っている人

生徒の課題解決能力を高めたいと思っている人

お悩み相談室とは

私は、学級経営を行う中で、2学期の真ん中あたりから「お悩み相談室」という取り組みを行うことが多くあります。

「お悩み相談室」とは、簡単にいうと生徒一人ひとりの悩みに対してクラスみんなで解決方法を考えていくという取り組みです。

お悩み相談室の目的

お悩み相談室の目的は次の2つです。

お悩み相談室の目的
  1. 自分が困っている時に、素直にクラスメイトに「助けて!」と言える雰囲気を作る事
  2. 誰かの悩みを解決する「課題解決能力」を高める事

私は「生徒が自分たちで課題を解決していく、自治的な学級作り」を目指して学級経営をしています。自治的な集団作りを目指す上で、「困った時に助けて!」と言える雰囲気作りや生徒の課題解決能力を高めることは非常に重要な事です。だからこの2つの力を高めたいと考えています。

自分が困っている時に、素直にクラスメイトに「助けて!」と言える雰囲気作り

自治的な集団作りを行うためには、生徒が困っている時に、「困っている」「助けて!」と素直に言えることが大切です。

しかし実際には、 困っているときに「助けて」と言う事は非常に難しいことです。

それは、

  • 自分の弱みを見せることができない
  • 今までクラスに自分の個人的な悩みを相談した経験がない

など、いろんな要因が考えられると思います。

だからこそ私は、まずは生徒達に「困った時にはクラスメイトに相談すると助けてくれる」という感覚を味わって欲しいと思っています。自分の弱みをされけだすことは決して悪いことではありません。それどころか、同じ悩みを持っている人にとっても新たな気づきを与えてくれる素晴らしいことなのです。

課題解決能力を高める事

自治的な集団作りをするためには、生徒の課題解決能力を高める必要があります。

自治的な集団とは、

  1. クラスがさらによくなるための課題を自分たちで発見する
  2. 発見した課題を解決する方法を考える
  3. 考えた方法を実践する
  4. 実践を振り返り、必要に応じて改善する
  5. ①〜④を繰り返していく

という流れが必要です。

このサイクルを回していく中では、②の課題を解決する力を鍛えることが非常に大切になります。

もし、課題の解決方法を教師が提案してクラスがうまくいったとしても、自治的なクラスへと成長することはできません。だからこそ、生徒の課題解決能力を育てていくことが欠かせないのです。

課題を解決するためには、まずは課題の原因を分析し、原因を解決するための解決方法を考えていく必要があります。しかし、課題解決能力がすぐに高まるわけではありません。

生徒の課題解決能力を高めるには実際に何度も課題解決の経験をすることが大切です。

何か新しい力を身につける時には、何度も説明を受けるだけでは成長はありません。

実際に、自分の頭を使って考えたり、体を使ったりしながら練習を行う中で初めて自分の力として身につきます。

だからこそ、生徒に課題解決の練習を何度もさせることで確実に生徒の課題解決能力を高めることができます。

お悩み相談室の方法

事前準備

悩みを集める

まずは、生徒の悩みを集めます。

集め方は、2種類です。

  1. 一斉にクラスメイトから募集する
  2. 生徒が必要と思ったタイミングで提出してもらう

本来は、②の生徒が困ったことがあった時に、「クラスメイトに相談したい!」と思った時に、すぐに相談できることが理想ですが・・・なかなか自分の悩みをクラス全員に伝えて、時間をとってもらうというのは心理的にハードルが高いように感じます。

こそで、まずはクラス全体に今の悩みや困っている事を書いてもらいます。

今、困っている事、クラスのみんなに相談したいことを具体的に書いていください。

集約の方法は、グーグルフォームを使うと便利なので私はつかっていますが紙に書いて提出でも構いません。

注意点は以下の通りです。

  1. 相談事は、あまり深く考えずに直感的に書いてもらう事
  2. 解決方法を考えやすいように悩みはある程度具体的に書く事
  3. 誰の悩みかがわかるように名前を記入してもらう事

実際に私が担任をしていたクラスでは、次のような悩みが出てきました。

生徒の悩み一覧
  • 朝寝坊します。どうすれば早く起きることができますか?
  • 忘れ物をなくすにはどうしたらいいですか?
  • 英語の単語が覚えることができないのですがいい方法はありますか?
  • 勉強しようと思ってもスマホを見てしまい、集中できません。どうしたらいいですか?
  • 勉強しようとすると眠たくなります・・・
  • YouTubeを見すぎてついつい夜更かししていまします。いい方法はありませんか?
  • どうすればもっとサッカーがうまくなりますか?
  • 人生とはなんですか?

今回は、いくつかだけを紹介していますが、生徒からの悩みは本当にユニークでした。

私たち教師には思いつかないようなリアルな悩みから、「人生とはなんですか?」といった壮大な悩みまであり、本当に面白かったです。

悩みが集まったら、あとは実際に解決策を考えていきます。

1日の流れ

私がこの取り組みを実施したときは、授業中ではなく、毎日の朝礼や終礼(約10分間)の時間を使って取り組んでいました。

本日の悩みを発表

まずは、1日の取り組みは、朝礼の時間から始まります。

「本日の相談」と題して、今日の終礼で「誰のどんな悩みの解決方法を話し合うか」を先に共有しておきます。

事前にアンケートをとっておいた「お悩み一覧」から「これだ!」というものをひとつ選びます。

選び方は、何でも問題はないと思いますが、私は前日に悩みを解決してもらった生徒が次の悩みを選ぶというルールにしていました。

このような感じになります。

生徒が発表する内容

今日の相談は、〇〇さんの悩みです。

「勉強しようと思ってもスマホを見てしまい集中できません。どうすればいいですか?」

終礼で議論しますので、準備をしておいてください。

というようになります。

4人班で悩みの解決方法を考える

1日を過ごし、終礼が始まったら必要な連絡を終え、お悩み相談室に入ります。

本来であれば、クラスメイトと交流する前に自分の中でじっくり考える時間をとる方がよいのですが、あまり時間を確保することができないことが多いことから、1人で考える時間は省略しています。(正確にいうと、お悩み相談のテーマを朝礼で発表しておくことで、1日の休み時間などに「どうしたらいいかな?」と事前に考えておいて欲しいという感じです)

私の勤務校では、授業中によく4人班での話し合い活動を行います。4人という人数が、生徒一人ひとりが発言しやすくなるので、主体的で対話的な深い学びを行うことができます。

司会の言葉

今日の相談は、〇〇さんの悩みです。

「勉強しようと思ってもスマホを見てしまい集中できません。どうすればいいですか?」

それでは、4人班で解決方法を話し合ってください。

司会者の合図で、一斉に4人班で話し合いが始まります。

日によって確保できる時間も違うのですが、いつも4分程度の時間を確保していました。

話し合いを行なう時のポイントは次の通りです。

思いついたことは発言する。

出てきた意見は否定しない。

意見は質より量。何個でもアイデアをだす。

アイデアはパクってOK。人のアイデアをどんどん膨らませる。

多くの意見を出しながら、「一番これがいい!」と思える解決策を決定します。

解決方法を発表する

各班で、話し合い解決方法を考えることができれば交流していきます。

交流の方法は、何でも構いません。

  • グーグルクラスルームのコメント欄で交流
  • グーグルスライドやドキュメントを使って交流
  • 班の意見を書いたマグネットタイプのホワイトボードを黒板に貼る

私の好みは、マグネットタイプのホワイトボードがオススメです。

理由は、生徒全員が同じものを見るので目線が上がり一体感が生まれやすく、説明がしやすくなるからです。

方法はなんでも構いませんので、とにかく班の意見を全体へと広げてください。

今日のベストアンサーの決定

クラス全体として意見を交流できたら「本日のベストアンサー」を決めます。

決定するのは、お悩み相談を出してくれた生徒が行います。

「これなら実際にできるかも・・・」と思った回答をベストアンサーに認定します。

この時にベストアンサーに選ばれなくても、いい意見やユニークな解決策を出してくれている班に対しては称賛を送ることを忘れないようにしてください。

お悩み相談室の効果

この取り組みを続けていく中で、生徒に変化が生まれてきました。

  1. 議論の進め方が上達する
  2. 短時間でも意見をまとめる力がつく
  3. 悩みの原因である本質的な部分を見抜く力がつく
  4. 相談することへの抵抗がなくなっていく

議論の進め方が上達する

取り組みを続けていく中で、議論を行なう時には、

「誰か1人が一方的に話すのではなく、4人が同じぐらい話すことで話し合いの満足度が高まるよ!」

というアドバイスをしました。

すると、生徒が議論が変わっていきました。

A君「どうしたらいいと思う?」

B君「僕は〇〇と思う。C君はどう思う?」

C君「僕は〇〇だと思うなー。A君は?」

A君「僕はどちらかと言うと、B君の意見に賛成かな。ここまで、話を聞いていてD君は何か意見ははる?」

D君「僕は〇〇がいいんじゃないかなと思うよ」

このように、生徒たちが自分でまだ意見を発言していない生徒に対して意見を求めるようになりました。

話し合う力が育っていく事を感じました。

短時間で意見をまとめる力がつく

次に感じたことは、時間がない中でも意見がまとまるようになってきたことです。

初めのころの会話は、

A君「どう思う?」

残りの生徒「・・・」

と言ったように話が進まなかったり、関係のない話で盛り上がったりする班もありました。

なかなか時間内に話をまとめることができないケースも多くありました。

そこで、

会議がうまくいくかどうかは、ファシリテーターの力が大きく影響すると言われています。

いいファシリテーターがいると、話し合いが上手く促進させます。ぜひ、名ファシリテーターになってみてください。

とアドバイスすると、生徒の同士の中で「〇〇はどう思う?」「この問題の原因は何だと思う?」「おーいい意見!」などといった会議をうまく進めるための会話が非常に増えました

生徒のファシリテーション能力が高まればスムーズに話し合いが行われ、短時間でも話し合いが進むようになっていきました。

悩みの原因である本質的な部分を見抜く力がつく

問題解決の練習を何度も行なっている中で、いい解決方法が少しずつできるようになっていきます。

問題を解決するためには、原因を特定することも大切です。

例えば遅刻した人がいたとします。

遅刻した原因が、アラームのセットを忘れていたのならセットし忘れないような方法を考える必要があります。

遅刻した原因が、YouTubeをみていて夜更かしをしてしまった人になら夜更かしをしない方法を考える必要があります。

アラームのセットを忘れていた人に対して、夜更かししない方法を一生懸命提案しても改善できません。

だからこそ、原因の特定をしてみてください。

といったアドバイスを出しました。

すると、勉強に集中するための方法を考えている時に生徒がこのような話をしていました。

A君「勉強に集中できない原因って、スマホを見てしまうからか・・・なんで、スマホ見ると思う?」

B君「やっぱり通知がきたら気になるんじゃないかな?」

A君「なら、通知来ないように電源切ったら?」

B君「電源切っても携帯が見えるところにあると見たくなってしまうよね・・・」

A君「なら、勉強するときはスマホをリビングに置くっているのはどう?」

B君「それならスマホのことは忘れられるかも」

というように、自分たちで原因を考えて解決方法を考えることができるように成長していきました。

相談することへの抵抗がなくなっていく

最も嬉しかったのがこれです。

昼休みに、クラスの女子生徒から声をかけてもらいました。

「先生相談いいですか?」

私は、日頃からなんでも相談をしてもらうタイプの教師ではないので、そんな事をいってくれたことが嬉しくてすぐに相談に乗りました。すると、

「今度の週末に剣道の試合があるんですけど、緊張するんですよ・・・

どうすれば緊張しませんか?」

と話してくれました。

相談になってその生徒なりのプランが出来上がった後に、

「どうして相談してくれたの?」

と質問すると、

「クラスでお悩み相談室の取り組みもしているし、

相談してみようかなと思ったんです。」

と答えてくれました。

そして、クラスの中にも、休み時間などに「助けて!」「どうしたらいいかな?」という発言をする生徒も少しづつ増えてきました。

生徒の中で、困ったことがあったら仲間に助けを求めてもいいという価値観が広がっていきました。

まとめ

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今回は、「お悩み相談室」で課題解決能力を高め、助けあえる集団作りについて解説しました。

生徒が困った時に、「困っている。助けて!」と素直にいうことができるクラスなら生徒にとってはきっと居心地のいいクラスになると思います。自分の弱みをさらけだすことができるクラスはいいクラスへと成長していくことができます。

さらに、生徒の課題解決能力を高めることも重要です。しかし、生徒の力だけで課題を解決する能力を高めることは非常に難しいことかもしれません。だからこそ、自分たちで解決する練習を時間をかけて行なっていく必要があります。

そして、生徒が自分で課題を解決する力を身につけていくことでより自治的集団へと成長していきます。

この取り組みは、私自身もやってみて非常に効果的でした。ぜひ、この記事を読んでいただいたあなたも実践していただけたら嬉しく思います。

今回も最後までお読みいただいてありがとうがざいました。

ABOUT ME
心先生
「心を育て、心を繋ぐ」がモットーの中学校教師、心先生といいます。 30代前半の体育教師です。専門種目はバスケットボールです。私自身、バスケットボールを通して、心が育った経験から、生徒たちの心を育てたいと考えるようになりました。 生徒を育てるために、日々奮闘している先生の何か役にお役にたてればと思い発信しています。