こんにちは。
「心を育て、心をつなぐ」がモットーの体育教師。
心先生です。よろしくお願いします。
私が担任しているクラスでは、好きな者同士でグループが分かれています。仲のいい子とだけ話をするような状態で、団結しているという感覚はありません。
また、人間観関係を上手く作れない子どもから、「どうやすれば友達ができますか?」と相談を受けたのですが、上手く答えることができました。
どうすれば、子ども達同士の人間関係ができ、団結できるようになるのでしょうか?
生徒にとって、学級や学校内にいい人間関係を作ることが出来ると、居心地がよくなります。居心地がいいと生徒は持てる力を存分に発揮できるようになります。
しかし、学級の中でグループができたり、グループに入れない生徒がでてしまうこともしばしばあります。
そんな、生徒たちに無理やり、「仲良くしろ!」といっても本当の仲間にはなれません。
だからこそ、私たち教師が出来ることは「人間関係ができる仕掛けを作る」ことではないでしょうか。今日は、そんな人間関係ができ団結するための仕掛けづくりを解説します。
学級経営で悩んでいる人
人間関係の作り方で悩んでいる人
人間関係を作るために必要なことがわかる
どのような仕掛けをつくればよりよい人間関係ができるかがわかる
人間関係が与える影響
クラス・チーム・組織といった集団の中での人間関係は、私たちに多くの影響を与えます。
例えば、次のようないい影響を与えます。
- 居心地が良くなり、安心感がでることで挑戦できるようになる
- 自分の悩みを相談できることでストレスにも強くなる
- チームメイトから認められると、モチベーションが高まることで、生産性が上がる
- お互いに協力し合えることで、質問をしたり、学びあいの成果が高まる
- 不登校の軽減
学校とは教育を受けるところです。つまり、「一人ひとりが成長するところ」です。成長するためには、挑戦することが欠かせません。「挑戦なくして、成長なし」です。
しかし、挑戦できない時があります。
それは、教室に「恐怖心」がある時です。
想像してみてください。
自分が何かに挑戦した時に失敗してしまった時のことを。
その時に、周りから冷たい目で見られたり、失敗を馬鹿にされたりする姿を。
とても、「もう一度挑戦したい」と思えないのではないでしょうか。
だからこそ、教室は「安全」でなくてはいけません。安全であるから、失敗するかもしれない難しいことにも挑戦できます。
そして、その挑戦が成長へと繋がります。
さらに、挑戦の結果が失敗だったとしても、仲間の励ましがあり、もう一度挑戦することができれば、また新たな成長をもたらします。
失敗を受け入れ、成功を喜びあえる人間関係は生徒のモチベーションを高めます。
さらに、良い人間関係ができることで、生徒の主体性の発揮にも影響を及ぼし、「自治的学級」へと成長を遂げていく力になるのです。
人間関係に関わる3つの心理学
良い人間関係を作っていくために、役に立つ心理学を紹介します。
1.単純接触効果
単純接触効果とは、「何度も顔を合わせていると、その人に好感を持ちやすくなる」という効果です。
例えば、テレビを見ている時に、新しく出てきたタレントさんがいたとします。はじめは、「この人は誰だろう・・・」と思っていても、そのタレントさんがブレイクして何度もテレビ出演しているところを見ると、「なんだかこのタレントさんいいな」と思うようになった経験はないでしょうか。これは、単純接触効果によるものです。
2.類似性の法則
類似性の法則とは、「人との間に何か共通点があると、その人に好感を持ちやすい」という法則です。
例えば、私が担任をしていたクラスの女子で、好きなアイドルがいる生徒がいました。その生徒は、昼休みに自分の大好きなジャニーズのグループの音楽が流れた時に、つい反応してしまいました。その時に、離れた席にいた別の女子も反応していたのです。
「もしかしてこのグループ好き?」
「大好き!」
「私も!」
このきっかけから、一気にその2人は仲が良くなりました。
このように、何かの共通点が見つかると仲良くなりやすくなります。
3.返報性の原理
返報性の原理とは、「何かをしてもらうと、それを返したくなる」という原理です。
例えば、
- いつも元気に挨拶してくれる人には、こちらも挨拶しようと思う。
- 誕生日プレゼントをもらったから、その人の誕生日にはお祝いしてあげたいと思う。
- 好きな人を教えてもらったから、自分の好きな人も教えようと思った。
といった経験はないでしょうか。このように、何かをしてもらったことを返したくなるのです。
だからこそ、相手にして欲しいことがあるなら、まずは自分がやることが大切なのです。
人間関係をつくる為の3つのポイント
良い人間関係をつくる為の方法は数多くありますが、その中で私が実践しているポイントを紹介します。
1. 自己開示で相手の心を開く
自己開示とは「自分のプライベートな情報を相手に伝え合ること」をいいます。
人間は、自分が信用できると思った人に、自分のプライベートな話をしたりしますが、逆もあり得るのです。
つまり、自分のプレイべートな深い話をしてしまったから、この人を信用しようという心理が働くのです。
だから、自ら相手に自己開示することによって、返報性の原理が働き、相手も自己開示をしやすくなります。
そして、相手も自己開示をすることで、重要な話をしてしまったから信用しようという心理が働くので、自己開示をしあうことが相手への信頼感を高め、人間関係が良くなるのです。
だからこそ、まずは教師から自己開示をすることが大切になります。そして、生徒が自己開示しやすい雰囲気を作ることにつながります。
では、学級経営で使いやすい自己開示の7つのテーマを紹介しておきます。
1.自分が幸せに感じること、楽しいこと
【期待できる効果】
ポジティブな自己開示によって、相手も楽しく聞き、自分の幸せについても語ってくれる
2.自分がイライラしたこと、許せないこと
【期待できる効果】
お互いにイライラするポイントがわかるようになり、その後の付き合いで無駄な衝突が減る
3.自分の弱点やマイナス点
【期待できる効果】
悩みや弱さを打ち明けることで、相手に自分を客観的に把握できている人だと思われることで、「しっかりした人」という印象を与える
4.恥ずかしかった体験や罪悪感を覚えた体験
【期待できる効果】
人間らしさを相手に伝えることができる。そして、生徒に失敗談を語ることで、「先生はすごい人」というレッテルをはがせるので親密度が高まりやすくなる
5.自分が改善したいこと
【期待できる効果】
今まで何をしてきたかよりも、これからどんなことをしていきたいかを自己開示することがより魅力的な人間に見せることが出来る
6.自分の夢や目標、野望
【期待できる効果】
自分の夢や目標、野望を打ち明けることで、お互いの自己開示が進む。悩み・改善したいこと・改善方法を伝えると効果的
7.自分の趣味や興味
【期待できる効果】
自分が趣味に興味を持ったきっかけやそれを学んだことなどをエピソードを交えながら話すことにより相手も会話に加わりやすくなる
このようなテーマでまずは教師から自己紹介してみてください。
2. 類似性と帰属意識を演出する
同じグループに所属している時に、人間関係ができやすいという心理テクニックを使っていきます。
例えば、次のような経験はありませんか。
帰属意識の例
- 他のクラスの友達より、同じクラスの友達の方が仲良くなる
- 同じ部活動に所属している人と仲良くなる
- 大人になってからも、自分の母校で所属していた部活動を応援する
- あまり野球には興味ないが、「阪神VS巨人戦」は大阪に住んでいる人は阪神を、東京に住んでいる人は巨人を応援する
- ワールドカップなどの世界大会が行われると日本を応援する
このように、同じグループであると認識すると人間関係ができやすくなります。
そこで、グループ活動を上手く取り入れていくことが有効になります。
つまり、グループを有効活用することが大切です。
ペア活動・4人班活動・6人班活動・男女グループ・クラス全体といったグループを目的に応じて使い分けてください。
そして、帰属意識を高めるためには、
「〇〇中学校のみんなの力を合わせて」「チーム1年生なら」「私たちのクラスなら」というように声をかけることで意識させることもできます。
3.共同作業の中で笑顔をつくる
心理学の考え方の中に、何かしらの共同作業をしているときに笑いを共有すると、一気に帰属意識が高まるというものがあります。
この笑いとは、「ギャグ」や「ユーモア」ではなく、「 プレイフルネス」と呼ばれる能力が必要です。
プレイフルネスとは
どんな状況でも自分と周りの環境に対して楽しいことを見つけ出す力
どんな状況でも遊び心を持って打開策を探ることができる力
チームビルディングや構成的グループエンカウンターなどの集団で取り組む要素が入った活動を行い、グループでの共同作業を行うなかで自然と笑顔がこぼれる状態になれば自然と人間関係は良くなっていく可能性が高まります。
人間関係を高める具体的な仕掛け
人間関係を良くするための具体的な仕掛けとしては次のようなものがあります。
それぞれの詳しい方法は別の記事で用意していますのでそちらをご覧ください。
こちらの記事ではサイコロトーク、先生・自分クイズ、1分間スピーチを紹介しています!
友達ビンゴは簡単にクラスメイトと交流をはかることができる取り組みです。私自身、必ず毎年やるものなのでぜひやってみてください!
人間関係を作り自治的集団を育てるチームビルディング「フラフープ通しレース」のすすめ
運動系ならこちらがオススメ!誰でもできる運動で、作戦や練習で一気に上達するので、生徒の自治力を高めるにはもってこいです!
といった取り組みをオススメしています。どれも、実際にやってみて、生徒たちの人間関係づくりに大きく役にたったものです。是非できることから実践してみてください。
共同作業を通して、子ども達の人間関係に変化が起きるはずです。
まとめ
今回は、生徒同士の人間関係を良くするための仕掛けづくりについて解説しました。生徒同士の人間関係が良くなれば、居心地がよくなり、安心感が生まれます。この安心感が学級の生徒全員が持てる状態ができれば、「いじめ」「不登校」の問題も起きません。
また、いい人間関係はモチベーションにも大きく影響し、生徒の主体性を育てることにもつながります。
もちろん、生徒たちは何もしなくても勝手に仲のいい友達を作っていくかもしれません。
しかし、学級は全員で学級。仲のいいグループだけの活動でなく、学級として人間関係を築き、団結していくことを目指していきたいと思います。
「知っている」と「できる」は違います。何かできそうなところからでもいいので、まずはやってみてください。
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